てぃーだブログ › 生き方の地図

2011年08月10日

レシピ

引き潮が水平線の向こうに去っていくのは、

見知らぬ海に住んでいる誰かの足元に触れるため。


波は、その人の足元を洗い、

その香りを水に溶かして、また水平線へと戻っていく。



満ち潮がここに帰ってくるのは、

見知らぬ海に住むその人の香りを運ぶため。


いまはまだ異国に生きるその人の吐息を、

波が砂のなかで静かに放つとき、その香りに、人の心はかすかに揺れる。


海がつなぐものは、時に隔てられた運命ではなく、

時が結ぼうとする、運命の約束。

その時を静かに待つことは、 それもまた、約束としての運命のレシピ。




  
Posted by 瀧川千里 at 01:14Comments(0)TrackBack(0)鑑定録

2011年07月15日

問わず語り

風の足跡は気まぐれ。

だから、その意味を問う言葉は、

小さなこだまとして、風の隙間に消える。



人は卵から産まれ、

石として死んでいく。



空気は光の影として現れ、

水は色彩の香りとして現れ、

光は、愛の熱情として現れるもの。


愛を無くすと、人は光を失う。

けれども、母なる暗闇のなかで、

人は、愛の原始の姿を肌で感じる。 




怖れることもなく、崩れることもなく、気負うこともなく、

自然として、毅然として立つことができるように、

人の心は、生きた美で真っすぐに支えられなければならない。

そうすれば、遥かな六つの翼をもつ光が、その青い空の頂から、

人の胸の銀の縄を強く引き上げるから。


人は祈りへの答えを、いつも奇蹟として受け取る。

そして奇蹟は、悲嘆の蕾から咲いた花として、その皇蜜としてあるもの。





  
Posted by 瀧川千里 at 00:54Comments(0)TrackBack(0)霊視的な日常の断章

2011年06月28日

深い夜の歌

鬼火は揺れて、恋しい恋しい人の元へと走っていく。

その胸の下で眠れるように、焦がれた心を走らせていく。


哀しいかい?

哀しくなんかない。 

ただ、思い出しただけさ。

もしも、あの日、ほんの少しだけ、朝が早く明けていたなら、

僕も、この地上に残れたものを。



夜を影の鳥が飛ぶ。

自分と同じ、蒼い闇の空を、糸に乗って泳ぐように。


さあ、施術をしましょう。

その胸の下に眠る、焦げた魂を水に帰すよ。

誰も知らない、透明な深い森の先へと鬼火を帰すよ。



今夜の話は、誰にも言わない。

だから、もう眠ってください。

あなたの夜の一幕は、私が見届けるから。

そして、秘密の話はぜんぶ、古い桜の木箱に入れて、

けして開かないように、鍵をかけておくから。


僕は、語れない語りを運ぶ夜の盗賊だから。








  
Posted by 瀧川千里 at 05:06Comments(0)TrackBack(0)霊視的な日常の断章